対談:ソーヤー海✕藤田一照②|ウツになっても最高!修行できるって最高!動詞としてのマインドフルネス、実践し続けることに意味がある
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2017/08/26 07:30

対談:ソーヤー海✕藤田一照②|ウツになっても最高!修行できるって最高!動詞としてのマインドフルネス、実践し続けることに意味がある

「東京アーバンパーマカルチャー」を主宰するソーヤー海さん。前回は、海さんのこれまでの経緯を伺い、大きく影響を受けたというティク・ナット・ハン氏について、藤田一照がお話しを伺いました。今回は、現在活動しているパーマカルチャーについてや、海さんの生き方について伺います。

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藤田一照(以下、藤田) 海くんは今は何に力をそそいでるの?

ソーヤー海(以下、海) 自分の修行としては、いかに奉仕者として生きるか。それは、ヴィパッサナー瞑想にも大きな影響を受けていて。僕のライフストーリーの続きを言うと、行き詰まってティック・ナット・ハンと出会って、コスタリカのジャングルに住み始めて、6ヶ月間もジャングルで暮らしていた。ほとんどお金が使えないから、お金の意味があんまりなくなる。食べものは森からくるし、お店がないから使わないし。サルとお金使えないしさ。

一照 それは人々が住んでいる村に入ったの?それともジャングルでひとりで暮らしていたの?

 教えてた学生のお父さんが運営していたエコセンターみたいなとこにいた。基本的には森で、彼しかいなかった。サルはすごい自然で楽しく過ごしてて。そこでいろんな閃きがあって、「あ、俺は生態系の一員で、生態系に生かされているな」っていうことが初めてわかった。都会や都会化した田舎に住んでると、お金に生かされている感覚になる。「お金がないと食っていけない」ってみんなお経みたいに唱えているじゃん。

一照 英語だと「No money, no life」ってやつだ。

 そうそう。だから、カルトなんだよね一種の。僕は資本主義教って呼んでるんだけど、すごい怖いカルトなの。抜け出そうとするとみんな止めにくるし。「老後はどうすんだ!」とか。でも、コスタリカのジャングルに住んでるときは、それが遠い世界に見えて。あ、俺は今、バナナをバナナの木からとって食べて、そのままウンチを土にいれて、それがバナナの木になって、みたいな。あ、循環してる。で、先住民である軍隊アリがくると家をのっとるから、家をでないといけないのね。

一照 えっ、軍隊アリが家をのっとる?

 そうそう。何億匹って感じで、真っ黒のマットがやってきて、家が真っ黒になるの。

一照 なんとか防げないの、それ?殺虫剤ぶっかけるとかして(笑)。

 防げない。でも、防ぐってことも人間中心な考えで。

一照 じゃあ、すたこら逃げるの?

 そう。逃げるっていうかゆずる?なぜかっていうと、俺は移住者なんだ。あっちは先住民。

一照 アリさんたちの方がずっと前からいる先住者なんだ。だから、すみません、僕らがどきますって…。

 ちょっと出ていけば、クモとかサソリとか全部キレイにして、次のところにいってくれる。2〜3時間でさっていく。掃除もしてくれる。家に戻ってくると、キレイな家。で、対立もない。

一照 なるほど、彼らはただ移動するだけなんだ。しばらくどこかで待ってて、アリが通り過ぎたらまた戻れるんだね。

 そうそう。でも、現代人は戦おうとする。家を守ろうとする。でも無理な話なんでそれは。いっぱいアリを殺すし、いっぱい化学薬品を使うし。でも、結局絶対アリはくるから。そういうところで、関係性について考えはじめたり。そもそもコミュニティってさ、都会で考えると、好きな人たちが集まるのをコミュニティって呼んでるのね。でも、地球上をシェアハウスと考えると、嫌いな人もいっぱいるし、でも、シェアしてるわけじゃないこの地球を。動植物も共にこの地球をシェアしている。そこでみんな共に暮らして、初めて機能するんだね、共に暮らしてるから。それが共生。

それが体感として入ってきて、そういう世界観とか生き方を広めようっていうので、パーマカルチャーとかに出会ってルンルンしてたら3・11が起きて。みんなコスタリカで暮らせないし、田舎で循環型の生活はできないか現状してないから、僕が恵まれたいろいろな機会で学んできたことを東京にもっていこうと思った。今の社会のいろんな問題は東京で決まっている。なんでかというと、たぶん一つは分離した社会の中でみんな生きているから。だからアリを敵と考えるように、デモをする人が敵だったり、中国と北朝鮮が敵だったり、なんかもう妻が敵だったり。みんな常に敵対して相手を倒そうとする文化をみんなでつくりあげて、子どもたちに教えて、親と子どもが敵対するってところから子供が育っていて。「金がないとおまえ生きていけないんだぞ」って脅迫して。そうか「金がいる」「自分を守らないと」「敵だらけの世界だ」っていう。そして、政府や企業にすごい権力を渡しちゃって。あなたたちが国の方向、子どもたちの未来を考えてくださいっていうのは、超ヤバいなって思って。なんとかその文化に、このマインドフルネスとか、生態系の中で生きることを、その種を育てていく活動をしようと実験をしているところだから。実践するときに、多くの人に甘い誘いをして。正しいからやるんじゃなくて、楽しいからやろうみたいな。幸せになるからやろうって方が、絶対人をひきつけるパワーがあるから。そういう実験をいろいろして。なにより実践するのが大事。あとは、パーマカルチャーとか非暴力コミュニケーションのワークショップを可能な限り行っている。


一照 パーマカルチャーってのは、具体的にどういう活動?パーマっていうのはどんな意味?

 パーマは永続。パーマネント・アグリカルチャーは永続的な農業。地球の環境を一番変えたのが農業だから。環境問題の始まりは農業だって言われているんだけど。だから持続可能な農業にかえないと、そもそも人類が終わってしまう。それだけじゃなくて、食糧があっても、都会に住んでる多くの人って不幸せな人が多いじゃん。だから食糧じゃない。やっぱり文化なんだよね。文化とか意識。だから、パーマネントカルチャーっていうのも後で付けたされて、僕はそのカルチャーの部分に興味がある。べつに、東京の人が自給自足すれば幸せになるとは思っていない。大事なのは、その分離の世界観から、うちらは実はお互いを影響していて、つながりあっていて、「私」が平和を実践すれば実践するほど、まわりの人が平和になって、そこから確実に平和の輪が広がっていく。

だけど、「私」が対立とか分離の世界観を実践すればするほど、それが広まっていって、結局いくら頑張っても幸せになれない。いくらお金を貯めて、いくら実績をだしても、孤立して死ぬ、っていう。だから、その現代社会のお話を今書き換えようとしているワークショップの参加費はとらないってアプローチをもう何年もしていて、全部なるべくドネーション制。お寺みたいなカタチですね。僕が教えているのは、本当に平和になる、自分が今までやってきていいと思ったものしか教えない。教えるっていか、わかちあう感じ。それを2012年からやって、なんか食っていけてる。家もある。最高の人生。もうすっごい量の人たちに支えられていて、成り立っている生活。だから、僕の社会保障っていうのは、何百人なわけね。保険会社じゃなくって。だから、その共生の感覚を日々実践して生きていることを、いろんな人たちに、ちょっとずついろんなカタチで伝えたり、その輪の中に誘い込んだりをやっている。


一照 さっき言っていた「Life is your messsge」っていう感じだね。生き方そのものがメッセージ性を持っている。

 そうそう。今は、千葉のいすみに移住して、若い人たちがよりそういう暮らしをできるような道場を作りはじめている。目指しているのは駆け込み寺みたいに、行き場を失った人たちが、ちゃんとそこでサポートされる。僕もそういう場所を必要としているから。お寺みたいなもんなんだけど、基本的には、そこで農業を教えたり、家づくりを教えたりしながら、共に平和の実践をしてみる。それがマインドフルネスであったり、共感しながらコミュニケーションとったり。ちょっとずつその実践と、これから世界により大きな平和の種を育てるための実験。本当にディープな非暴力の世界。簡単じゃないんだよ。入れば入るほど、いかに自分の執着しているものと向きあわないといけなかったり。「こんなに暴力が自分の中にあるんだ」っていうのも見えてくるから、やっぱり逃げたくなる。

一照  そういう生き方って、どうしたって自分に向きあうっていうのが要請されるからね。見たくない自分の面にも向き合うことになる。

 そうそう。本当の平和や非暴力っていうのは、内側からしかでき始まらないから。それができる場所。だから、瞑想もするし、農業もするし。

一照 いいなぁ。まさに現代の修行生活のモデルだね。

  建物だけ見ると廃虚なんだけど、人が集まったときの関係性のクオリティていうのは格別。みんなお金ももらわず、時にはお金を使ってまで竹切ったり、掃除したりしているんだけど、それが奉仕の心っていうか。なんか見返りを求めているっていうよりは、参加することによって自然に心が平和になったり、幸せになってくる。今はそれをやって、うまくいけば東京にもつくって、湘南にもつくって。お寺の現代版みたいな。本当は、お寺とか神社をもっと一般市民とつながれるような形に再生できるといいんだけど。

一照 うん、そういう展開も充分ありえるなって、話しを聞いて思いましたね。お寺もこれから新しいやり方っていうか、現代の文脈でのお寺の本来のあり方を模索していかないといけないから。海くんがやってるようなのはその一つのモデルっていうのか、それとつながってくると思う。そういうつながりが形を成していけば、お寺が再生されるっていうか、再び力を取り戻して、ちゃんと社会の中で機能して生けるようなものになるというのが思い描けるから、充分あり得ると思います。

 そうそう。やっぱり刺激を与えるっていうのはいい。じゃないと、箱に入れられて、しまわれちゃうからさ。

一照 新種の文化ウィルスみたいなものだね。

 そう。

一照 自分なりの生き方や考え方が文化的ウィルスみたいにじわじわ伝染していけばいいなって感じはしてるんですけどね。ウィルスみたいに自己複製して増殖していこうと。人間も今のあり方でで終わりというか最終形態じゃないからね。ミュータントじゃないけど、全く新しく生まれ変わった新生人類っていうくらいのものに育っていかないとダメだし。


 別に人類が終わっても、俺は別にいいって思う。どうせ死ぬから。絶対人間もどっかで滅びるし、太陽も消えるから。その無常の現実の中で、じゃあどうやって意味を生み出すかっていうと、一番自分が生き生きするような生き方を選ぶっていうことだと思う。絶対死ぬから。絶対病気になるし、絶対年老いていくから。その現実の中でなにをするかって言ったら、より多くの人たちを幸せにして、自分も幸せになって、その道をとりあえず歩み続ける。そうすると、少なくとも幸せに生きられたっていうことはできるからさ。


一照 そう、それは間違いない。

 だから自分がより寛容さとか、思いやりとか、愛を育てられるような修行を楽しくやって、自分をすごい観察する。いかに、すぐに執着したくなるかみたいな。10万円とかギフトでもらったりすると、減らしたくない、10万円を保ちたい、とかになっちゃうんだよね。家もギフトで住まわせてもらってるんだけど、すっごい家なのね。僕は普通に家賃払えないくらいの家なんだけど、僕にとっては。なんかこの家を手放したくない感じになってきて。でも、誰かの恩で住んでるから、その人に「出ていって」って言われちゃうと家がないんだよね。そこから恐れがでちゃうんだよね。恐れから執着が生まれて、頭が計算して、その人の恩がなくなったときに、どうやってここに住み続けるかとかいろいろ考え始めちゃうの、ほっとくと心が。で、おいおいって感じで。それがポイントじゃなくて、今家があることをお祝いして、最高の時間を過ごして、そのときはそのときで考えれば。

一照 それで、その人も喜んでくれたりしてて。でも、それはあくまでも結果的にそうなったのであって、たくらんでそうしたんじゃない。。

 そこがまたティック・ナット・ハンとつながって。いかに一瞬一瞬実践するかってことにしか意味がない。昔は、徹底的に今ここを生きて、今はバリバリ未来のことを考えながら金をいっぱいもうけてたら意味がないんだよね。平和もマインドフルネスも、僕は動詞として使ってるから、実践することに意味がある。これだけ延々と実践が、修行ができるって最高!みたいなさ。辛くなることもあるけど。

一照 そういう辛いことなんかも風景のひとつだから、やっぱり。いいことばっかりじゃない。ラクなことばっかりじゃない。


 一回ウツにもなって。なんか最高だね、ウツになれて生き返ったというのは。中央線で飛び降り自殺しそうになったんだけど、それぐらいウツで。抗ウツ剤も1週間位飲んでて、抗ウツ剤がないと本当に体が動かないぐらいなウツだった。動きに意味が感じられないから。なにしても意味ないから、動けないんだよね、意味ないから。


一照 今、呼吸していることが喜びだって言ってるのにウツになる?

 そうそう。ウツを体験して、よりウツの人たちに共感できるようになったし。今生きている素晴らしさ、今ウツじゃない素晴らしさ、今虫歯がない素晴らしさ。虫歯がない喜びについてタイ(※1)がよく話してた。風邪ひくのもすごい好きなの。自分より小さいものに、これだけ潰されてるっていう、その自然のパワーを感じるのと。あと、やっぱり普段こんなにひどい気持ちにならずに生きていけてる、それって最高だなっていう。だから、風邪ひいててむっちゃダウンしてるだけど、「最高!」みたいな。そんなひどい体験も受け入れられるようになると、無敵になっていくっていうか。なにがあっても受け入れられる。

一照 それが生死を超えるっていうか、二元的な葛藤を超えるってことなんじゃないかな。超えると言っても、そんなに神秘的なことではなくて、本当はそういうとこにあると思ってます。

 現実を受け止める。だって、それしかできないからさ。

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前の記事…『対談:ソーヤー海✕藤田一照①|呼吸につながって到着する。マインドフルネスの体現者であるソーヤー海氏が影響を受けた人物と、彼の人生とは?』


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※1タイ:ベトナム出身の僧侶、ティク・ナット・ハン師の愛称。


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