(前回の講義)

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今回のところは、具体的に坐り方について述べているところです。

「あるひは半跏趺坐し、あるひは結跏趺坐す。結跏趺坐は、右の足を左のもものうへにおく、左の足を右のもものうへにおく。足のさき、おのおのももとひとしくすべし、参差(しんし)なることをえざれ。半跏趺坐は、ただ左の足を右のもものうへにおくのみなり。衣衫(えさん)を寛繋(かんけ)して、斉整(せいせい)ならしむべし。右手を左足のうへにおく、左手を右手のうへにおく。ふたつのおほゆびさきあひささふ。両手かくのごとくして、身にちかづけておくなり。ふたつのおほゆびのさしあはせたるさきを、ほぞに対しておくべし。」

文字にするとこういうふうに、いかにも長ったらしく複雑な感じになりますが、坐り慣れている人には自明の坐法ですね。

半跏趺坐か結跏趺坐しか、ここでは書かれていませんので、日本式の正座や脚を組まない坐り方、椅子に坐る坐り方などは、想定されていないことになります。

脚を組んで坐るのが、釈尊伝来の伝統だからです。

ところが現代人の多くは、こういう坐り方が困難になっていますから、これに準ずる坐り方も考慮しなければならなくなりました。

現在の私は、体幹のあり方の方が足の組み方よりも重要というふうに理解しているので、無理矢理に脚を組むような指導はしていません。

伝統的な坐り方のすばらしさを強調しつつも、今の体の現状にあう範囲で、できるだけ体感が安定するような坐り方を、個々人で選択するようにしてもらっています。

そして、だんだんと半跏趺坐か結跏趺坐で楽に坐れるように、体を練っていってもらうように勧めています。

「足のさき、おのおのももとひとしくすべし、参差(しんし)なることをえざれ」というのは、足の先が左右とも腿と平らにそろうようにして、凸凹にならないようにするということです。

足の裏が平らに上を向くことになります。

坐禅の時の衣服は、体を固くしめつけるようなものではなく、ゆったりと包んでいるようなものが良いのですが、同時にだらしなくないように整えておかなければなりません。

坐禅は神聖な営みなのですから、それなりの威儀が備わったものであるべきです。

手の形は大事なポイントで、両手の親指の先がお互いに軽く支えあうようにして、水平を保っておくようにします。

考え事をしたり、居眠りをしたりすると、まず最初に、この親指の形が崩れます。

逆に、この形を保つ努力によって考え事や、居眠りに陥ることを避けることができるのです。

このように組み合わせた手を下腹に添え、親指の接点が臍のある正中線上に来るようにします。

ちなみに、道元の師である如浄は「坐禅の時、心を左の掌の上に安んずる、すなわち仏祖正伝の法なり」というアドバイスを授けています。

手から心を離さないように問うことでしょう。



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