まるっとさん、お声かけいただいてありがとうございます。

せっかくですから、私が好きな本を紹介します。それは、ヘミングウェイの「老人と海」です。まだ、小学生の頃に「釣りキチ三平」というコミックで似たようなストーリーがありました。後で本書を読んだときに、「あれ、釣りキチ三平に出てきたな。」と思ったことを覚えています。

漁師である主人公の老人が、一匹のカジキマグロを釣り上げるまでの死闘が描写されています。この死闘を通じて、主人公の老人は、何度も何度も自問自答します。なかのよい「少年がもしここにいてくれたらなあ」とかいう具合です。設定は、老人と海とカジキマグロこれだけです。老人とカジキマグロとの死闘だけで、一冊の文学は終わってしまいます。最後は、釣り上げたカジキマグロを鮫に食べられてしまうという悲しい結末を迎える訳ですが…。

私がなぜ、この本を薦めるかというと、コロナで外に出ることが自粛されている今、自宅での過ごし方と重なるからです。ゴールデンウイーク中、部屋で過ごすのことは、疲れる大変なことだと思います。しかし、この本の主人公のように、簡単な設定の中に、ノーベル文学賞をいただくような沢山の自問自答をすることができます。昨日、十年ぶりに読み返してみたのですが、主人公の老人の自問自答が、人文の落ち着きどころをさがす禅の生き方と重なってまた新しい発見があったところえです。                             奥 拓也